2021年11月18日の日本経済新聞朝刊1面に「外国人就労『無期限』に」という記事がありました。外国人の在留資格「特定技能」について、入管庁は在留期限を事実上なくす方向で調整しています。外国人の受け入れを拡大する背景には、何があるのでしょうか。
日本にいる外国人は活動内容などで「永住者」や「留学生」といった在留資格が与えられます。今回対象になるのは、人手不足が深刻な業種で即戦力となる「特定技能」の外国人です。これまでは14業種のうち、建設など2分野だけが「無期限」の対象でしたが、最長5年だった農業や製造・サービスなど全ての業種に範囲を広げます。
制度が変われば、外国人の家族も日本に滞在することができるようになります。在留が10年以上になると、永住権取得の要件も満たすため、外国人就労者が将来的に日本に残る選択肢が増えます。もともと永住権は、専門職や技術者らに限られていましたが、多くの労働者に永住の道が開ける転換点となります。
特定技能を導入した2019年、入管庁は23年度までに34万5000人の労働者が不足するとみていました。取得者は月3000人程度で推移しており、就労期限がなくなれば20年代後半には30万人規模になる計算です。新型コロナ禍からの回復過程で世界では人材の争奪戦が見込まれます。外国人家族が日本語を学ぶ環境整備なども求められています。