- 外国人技能実習制度をめぐっては長時間労働や賃金の未払いなどのトラブルのほか、職場での暴力といった人権侵害の訴えもあとを絶ちません。東京・中野区の「日越ともいき支援会」では、2020年からベトナムからの実習生などの保護や支援にあたっています。
去年12月から支援している20代の男性は、関西の建設会社で働いていましたが、仕事でミスをするたびに職場の日本人から殴られ、違う実習先に移る「転籍」を申し出ても断られたということです。
男性は「転籍できないと言われ、不信感を持ちました。日本はすごく発展した国だけど悪い面もある。日本で働く外国人からするととても不満で、不平等な扱いを受けていると感じる」と話していました。
この団体にはことしに入ってからも300件を超える相談が寄せられているということです。
団体ではトラブルがあとを絶たないのは、継続的な技能の習得を理由に「転籍」と呼ばれる実習先の変更が原則、認められていないことや、企業に実習生を仲介しトラブルが起きた場合に対応にあたる「監理団体」の支援が十分でないことがあると考えています。
団体の吉水慈豊代表は「技能実習制度は技能の移転を目的としているが、実態は人手不足の労働力の穴埋めとして受け入れていることが問題になっている。人権侵害やパワハラにあったり強制帰国させられそうになったりしたときに、SOSが届かないということがないよう、スムーズに転職先を見つけるというシステムが大事だ」と話しています。
その上で今回発表されたたたき台については、「技能を学ぶ実習生という位置づけから労働者として受け入れることを打ち出したことで、1つ評価できるかなと思っている。ただ、ちゃんとした受け入れ方ができるかは別の話で、できるだけたくさんの現場の声を拾ってもらい、新しい制度の見直しにつなげてほしい」と話していました。