技能実習制度の今後③の続き
技能実習生を受け入れる企業は
技能実習生を受け入れている企業の中には、人材確保などを目的とした新たな制度への移行を前向きに受け止めつつも、転籍制限の緩和による人材流出に懸念を示すところもあります。
8年前から技能実習生を受け入れている岐阜県の縫製会社では、従業員15人のうち、ベトナム人実習生が7人を占めています。
いまの技能実習制度は国際貢献が目的とされていますが、日本人の働き手が不足するなか、会社にとって実習生は働き手としても重要な役割を担っていて、欠かせない存在となっています。
会社では新しい制度で「人材の確保」が目的として掲げられることで、労働者としての受け入れがようやく可能になり、制度と現実との矛盾がなくなると肯定的に捉えています。
一方、実習先を変更する「転籍」の制限の緩和については、懸念もあるといいます。会社では、実習生に日本人と同じ水準の給料を支払っていて、受け入れにあたっては渡航に関する費用や入国後の日本語の講習料なども負担しています。
日本人を雇う場合より費用がかかることもありますが、人手不足の中、実習生に頼らざるを得ないのが現状で、もし、すぐに仕事を辞めて給料の高い都市部の企業などに転籍するようなことになれば、立ちゆかなくなるといいます。
縫製会社「アイエスジェイエンタープライズ」の井川貴裕代表は、「日本人の新卒と比べて外国人の方が費用負担はとても大きく、すぐに転籍されるとその費用に見合わず、厳しい。日本人と同様に外国人の人権を守るのは当然だが、地方の小規模事業者の実情を踏まえて、今後の議論を進めていってほしい」と話していました。